あの日、戦闘領域に必死で駆けつけた俺に突き付けられたのは、絶望だった。












大破したGNアーマー。
飛散する焼け焦げた金属片。
たち煙る塵芥。

戦闘の痕跡はまだ新しい。



まさか、ロックオン、が………、


喉が干からびていくような気がした。血が凍っていった。

大丈夫だ、彼が死ぬはずがない。

心では否定しても、訓練された戦士としての理性的な部分が、彼の死の可能性とパーセンテージを提示し続ける。










どこだ、どこだ、どこだ、どこだ………。

ロックオン、お前は今どこにいる………。












ほんの数秒間の探索が、とてつもなく長かったようにも、一瞬だったようにも感じた。

しかし俺は、ロックオンを探して戦闘領域の中心部へ機体を走らせるのに必死で、その時のことはあまりはっきりとは覚えていない。
















―――――ピピッ

短い、センサーの音。



そして、

生体反応。




真空の黒海を、塵芥と粒子の残骸と漂っていたのは、紛れもなくロックオン、だった。

モニターに小さく写し出されたマイスターのリーダーの肢体は、ひどく儚く見えた。


やっと彼を発見出来たのに、何故か、彼を失ってしまいそうな気がした。
彼の命が零れ落ちていくように見えた。




出血多量だったら……、
臓器に傷がついていたら……
もし、ヘルメットが割れて酸素が漏れ出していたら……、!!
元から負傷していた右目も気になる。

一刻も早く、彼を救出して手当てをしなければ。


トランザムが使えないのがもどかしくて仕方ない。













その時、バチッと弾けるように閃光が走った。
嫌な予感が、した。


ロックオンが漂っているすぐそばにある、大破したGNアーマー。
飛散する塵芥の量は並みじゃない。


彼が、危険だ。











ふと、ロックオンが腕を伸ばした気がした。
ただ、俺は、必死でそんなことに気を止める余裕がなかった。

トランザムを使いきった機体の動きが、ひどくのろく感じた。











そして、

彼は白い光にのみ込まれた。




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