粉塵爆発の瞬間、俺は、目を閉じなかった。

強烈な閃光の中で、肉体の条件反射を拒んだ。




爆発の衝撃を無視して、粉塵の中心部へ機体を向かわせた。

彼の左腕が、左足が、先に白い閃光へのみ込まれて消えていこうとするのを目の当たりにした。


その瞬間、別の衝撃が、俺の機体を襲った。

視界から、ロックオンが消えた。
















気がつくと、GNアーマーは原型をすらとどめていなかった。
粉塵の様子から、まだ爆発から数秒もたっていないことは分かった。
が、ロックオンの生死を前にして、一瞬でも気を失った己が恨めしくて堪らなかった。



















ロックオンは、どこにいる……?

細かく砕けたGNアーマーの残骸に、彼が紛れているかもしれない。



俺は、コックピットから出て、必死で探索した。
が、発見出来たのは、彼が直接設置したと思われるデュナメスの狙撃器具の焼け焦げた跡だけ。




先ほどの、別の爆発の衝撃で、彼の身体が安全圏へ飛ばされている可能性が有るかも知れない。

今度は再びエクシアに乗り込んで、探索に専念した。


可能性のある領域は勿論、あり得ないような領域まで広範囲を、徹底的に探索した。

塵一つ見逃すつもりはなかった。

















だが、何の手がかりも見つからなかった。


緑色の破片を見つけた時、ロックオンの死を覚悟した。
冷えきった指先がボロボロと崩れていく気がした。


だが、それは、大破したデュナメスの金属片だった。

ロックオンの生存を、ましてや死亡を確認する手がかりにはならなかった。








トレミーからの帰投命令が、幾度となく来ていた気がする。
だが、俺は無視し続けた。








もう、どんなものでもいい。彼の、証拠が欲しかった。
たとえそれが、ヘルメットの、パイロットスーツの破片であろうと、
たとえ、それが、彼の、ロックオンの死を意味するものでもいいから、




とにかく、見つけたかった。















だが、結局俺は、何の証拠も見つけ出すことが出来なかった。




















僅かに漂うGN粒子の残骸が、ヘルメットを掠めていく。

あの、アザディスタンの渇れた夕空に溢れていた、神に勝る存在。

いつも凛として美しかった彼の、瞳の色。







その翠碧が、酷く虚しく感じた。




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