ふと、通路から人の気配がした。
しかもかなり近い。

ロックオンのことで頭がいっぱいで、気配を感知する事をすっかり忘れていた。





窓一つないこの狭い部屋には、脱出するルートは見当たらない。
仕方ない。

ところ狭しと並ぶカプセルの下に潜りこんだ。











プシューッ、とドアが開く。

数人の足音が間近で響く。


「意識を回復したのは、No.17だけかね?」

「あ、No.21もです。」

「ああ、そうか。」

「明日、諜部から取り調べ員が来るそうですよ。」

「身元がユニオン領なら良いが。」

「何故です?」

「こんなボランティアを続けているのは、我が院の評価をあげるためだ。いつまでも惰眠を貪る行方不明者の世話なんてやっていられるか!」










俺は唖然とした。








「従来のカロリーの点滴は、No.10からでいい。2ヶ月以上反応もない奴らには、空腹くらいがちょうどいいだろう。」











その私利私欲に凝り固まった医師の指示に思わず怒りが募り、銃を握る指に力が入ってしまう。

しかし、ここにはロックオンがいる。
あんなに夢見たロックオンが生きて眠っているのだ。

彼を危険に晒す訳にはいかない。




俺は必死で煮え繰り返る感情を抑え続けた。




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