朝。


閑静な住宅街に、真冬の朝日が淡く差し込む。




刹那は、まだ薄暗いうちに目覚めた。


毛布をきちんとたたみ、ベッドを整える。

刹那が使っているのは、この家に備えついていた薄いシングルベッド。



ロックオンの為に購入したキングサイズはまた別だ。

当たりの良い南側に準備してある。









「おはよう、ロックオン。」


カプセルの中で、彼は依然として眠っている。


「今日も、晴れたぞ。」





床暖房をつけている室内は、いつも暖かい。

つい、外の寒さを忘れかけてしまう。

今朝は一段と冷え込んだ。
コートを持っていないので、購入したほうがいいだろうか……。


刹那は貯金の残金を計算しながら、家の裏に広がる森林に足を進めた。








まだ人々が活動し始める前に、森林に隠したエクシアの様子を見に行く。
これは、この3日間で日課となっていた。

外部迷彩皮膜があるので大丈夫だとは思うが、慎重になりすぎて越したことはない。









この住宅街は、ほとんどが別荘だ。

3日前まではちらほら住人を見かけたが、正月休みも終わったせいか、ほとんどの家が空っぽだ。

そのため、未成年の刹那が急に入居してきても、不審に思う者は誰もいなかった。





エクシアは、高い杉の樹林帯に隠してある。


GN粒子のチャージは完了している。
各センサーもオールグリーン。
外部迷彩皮膜に、問題なし。

寒いので、エクシアの点検を手早く済ませ、家へ急ぐ。






ふと、森の中で季節はずれのユリの群生を見つけた。

すっと伸びた茎の先で大きく開く白い花弁。

……まるで、ロックオンみたいだ……。






花など活けた経験は無いが、部屋に飾ってみようか。

刹那はナイフで4、5本切り取って、家路を急いだ。













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