1735。
調査通りに製薬会社のトラックが到着する。今日最後の納品だ。

納品はいつも二人組で行われるので、この段階では俺はまだ派手には動けない。

製薬会社の社員がトラックからダンボール箱をいくつも出して、運搬用のワゴンに詰め込む。

1人が病院の事務室に手続きをしに行っている隙に、俺はそのワゴンに忍び込んだ。

中にはダンボール箱の他に医療用チューブの袋がぎっしりと詰められていたが、身体が収めるだけのスペースは確保出来た。

不本意ではあるが、小柄なのはこういう時に便利だ。








手続きを終え、看護士が2人組でワゴンを押す。

俺を積んだワゴンは、そのまま保管庫に向かう。

保管庫には3重のパスワードがかけられていて、出入り口の警備は厳重だ。

廊下の監視カメラのデータを偽造すると、バレる可能性がある。

そのため、監視カメラのデータは保管庫内部だけ改ざんしておいた。




この病院は以前、扉を開けっ放しにしていたために軽微な医療ミスが発生し、マスコミに叩かれたことがある。


俺の予測通り、看護士は、カートをいったん部屋に運び入れると、2人がかりでいったん開けた扉をしめてパスワードをかけ直す。


その隙に俺はワゴンから音も無く滑り出て、部屋中に積まれている医薬品の陰に身を潜めた。








すぐに看護士たちはワゴンの扉を開けてから品物を取り出し、チェックリストと照合する。


看護士たちが談笑しながら出ていくまで、しばらく俺は息をひそめつづけていた。








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