――あたたかい…。

また、俺はロックオンの夢でも見ていたのだろうか……。



刹那は心地よいまどろみの中で考える。


――もう一度眠ったら、また彼の夢が見られるだろうか…。








「……刹那、もう少し寝てろよ。」

ロックオンの優しい声がする。

すごく温かくて、落ち着く。
優しいほっとするような匂いが微かに鼻腔をくすぐる。

刹那はもぞもぞとその温かさにすり寄った。



「ほんっとお前、可愛いな…。」

独特の甘さを含んだ声が笑って、髪がすかれる。

心地よい……。






ぼんやりと気だるい目蓋を開けると、朝の光が燦々と瞳を突き刺す。

もう日は高く昇っているのだろう。ずいぶんぐっすりと寝過ごしてしまった。

薄く開いたまぶたから差し込む光が、何故かとても瞳に痛い。
眩しくてしょうがない。

すごく気だるくて、これ以上目が開かない……。





「あー、やっぱり目 腫れたなー。」

ひんやりとしたものが目蓋に触れて、とても気持ちいい。

「昨日あれだけ泣いたもんな。仕方ないか。」

「………泣いた?誰が?」

「あれ?刹那、昨日のこと覚えていないのか?」

「……昨日の、こと……」





眠っていた思考が一気に覚醒する。

昨夜の記憶が脳裏に駆け巡る。



バチッという音がしそうなくらい勢いよく、刹那は目を開けた。


「おはよ、刹那。」

目の前、鼻の先に、彼の綺麗な顔があった。
同じ枕に頭を横たえて、優しく微笑んでいる。



「……ロックオン。」

「なんだ? 刹那。」

「……………………………おはよう。」

「はい、おはよう。良い朝だな。」



すっかり拍子くらった刹那は、しばらくじっとロックオンを見つめていた。

クスリと彼が笑って、唇を重ねた。

「おはようのキス。これからは毎日出来るな。」

「っ………!!」

「フフッ。刹那、顔真っ赤。」

再び優しく髪をすかれる。

「どうする?疲れてるなら、二度寝でも…」








バッと刹那が起き上がった。


「ロックオン、気分は悪くないか?」

「大丈夫だ。」

「吐き気は?熱は?」

「全然平気だぞ?」

「……ちょっと待ってろ。」



刹那はたどたどしく体温や血圧を測る。

「……少し、低いな。」

「でも、正常だろ?」

「…………ああ。」


刹那の手がロックオンの目じりに触れる。

「視力は大丈夫か?」

「ああ、昨日言った通り、ちゃーんと見えてる。」

「あの時計は見えるか?」

ロックオンの左目を隠して、部屋の反対側にかかっているオーソドックスな時計を指さす。


「ああ。今、8時35分だな。」

「秒針の色は?」

「水色。」


ほっと刹那は息をついた。



「刹那、心配し過ぎだって。筋肉は衰えているけど、感覚はオールグリーンだ…」

「心配し過ぎて何が悪い。」

ギロリとロックオンを睨み付ける。

「あんたは死にかけたんだ。4ヶ月も意識が無かったんだ。心配しないほうがおかしい。」

強い真摯なまなざし。

「あんたはいつも他人の心配ばかりしていた。……あんたにそれをやめろと言ったって無駄なのは分かる。だから、俺があんたの心配をするんだ。」




おもむろに布団の中に腕を突っ込み、ロックオンの足を掴む。



「…な、なんだ?刹那。」

「足の感覚はあるか?」

「あ、ああ。大丈夫だ。」

「今、俺がどこを引っ張っているか分かるか?」

「え?…右足の中指、だろ?」

「なら、これは?」

「左足の薬指。」

「……神経は損傷していないようだな。」

「だから言ったろ?感覚は全部…」


ジトッとねめつけられる。


「……あー、悪かったよ、刹那。思う存分診察してくれ。」

軽く両手を上げて降参のポーズ。

「おとなしくしてるから、だから刹那、そんな怖い顔すんなよ。美人が台無しだぞ?」

キュッと小さな鼻をつまむと、刹那はこくんと頷いた。








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