刹那が向かった地方には、エクシアを隠しやすそうな森林が数多く残っていた。


ロックオンをエクシアに残して、町の古びた不動産屋へ行った。

店主の親切な老人のおかげで、静かな住宅街の中にあるちょうど良い物件を見つけることが出来た。


ひと昔前に流行ったウッド調の洋風一軒家だ。

パッと見た瞬間、ロックオンの故郷を連想して、刹那は即決した。


とりあえず仮契約と頭金を支払い、電気、ガス、水道をすぐに手配してもらい、その日のうちに入居した。



業者が慌ただしく作業を済ませ、必要最低限の生活空間が整っていく。

日が暮れる頃には、刹那はロックオンのカプセルを運びこむことが出来た。















「ロックオン。」


刹那は、寝室のの真ん中に安置したカプセルに語りかける。

「この家、木の匂いがする。」


まだ何もない室内。


「こういう家、あんた好みだろ?」



がらんとした広めの部屋に響くのは、刹那の声と、カプセルの稼働音。


「もう、目を覚ましても大丈夫だ。ロックオン。」


刹那はそっとカプセルに触れた。

稼動中の機械の温度が、とても温かく感じた。



……………疲れた…………。


ロックオンを救出したのは、まだ24時間以内のことだと言うのに、ずいぶん経った気がする。


とりあえず、電源を家のコンセントに移したので、一安心だ。

ホッとして、張り詰めていた精神がほどけていくのが分かる。




刹那は、冷たい床に座ったまま、ロックオンのカプセルにもたれかかった。

「ロックオン、早く目を覚ましてくれ……。」




呟いた言葉は、冬の深い闇と共に沈んでいった。









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