*****






「怖がらないで。刹那。」


彼の甘く低い声が優しく俺を包む。


「大丈夫。優しくするから、な?」


股関を押さえていた両手をやんわりと外される。

俺には今から何をするのかだいたい理解できて、身体が硬直した。


「刹那、身体ガチガチ。」


俺のズボンの前を広げたところで、ロックオンは俺を見上げてきた。

優しい優しい翠碧の2つの瞳。

俺が黙り込んでいると、彼は一旦ズボンから手を離し、両腕を広げて俺を抱きしめた。


「刹那、初めてだもんな。怖いのも分かる。」


彼が俺の耳朶を甘噛みしながら、優しく頭を撫でる。


「俺に『初めて』をくれて、ありがとな。」


チュッと小さなキスをされる。


「刹那。俺、すごく嬉しいんだよ。」

「…嬉しい?」

「そ。今まで見れなかった刹那の可愛いところ全部、今から見れるんだから。」


ニカッといつものように彼は笑った。


「…俺は別に可愛くない。」

「ハハッ。素直じゃないな。」



深く口付けられ、彼の舌が俺を翻弄する。

熱くて長いキスの後、唇を離された時には、俺の陰茎はすっかり立ち上がっていた。



「…こっちは素直なんだな。」

「…うるさいっ。」

「ごめんごめん、刹那。」


もう一度ギュッと抱きしめられ、彼が耳もとで囁く。


「刹那、俺に任せて。」

「ん…。」

「力を抜いて、全部俺に委ねて。」


そして彼は、その長い綺麗な白い指で、俺の反応したモノをそっと掴んだ。







*****





ピリッとした快感が背中を走り、俺は目を開けた。

薄暗い、木目調の天井。

聞こえてくるのは、彼のカプセルの赤外線治療の音だけ。




「……ゆめ…。」


武力介入が激化する中で、彼に初めてを捧げた、あの日の記憶。

まだ唇には彼の感触が残っている気がする。




刹那は、ベッドの真横にあるカプセルを覗き込んだ。

今日、新しいバスローブに着替えさせたばかりのロックオン。

データをチェックしたが、意識は深いところに沈んだままだった。




もっと彼の顔が近くで見たくて、刹那がベッドから降りようとしたとき、

「ひぁっ!!?」


ビリビリと快感が背中を駆け抜けた。

慌てて毛布をめくると、刹那の自身が反応していた。



「…なぜ、こんなに…」

…彼に触れられる夢を見たせいか。







刹那は物欲しげにカプセルを見つめた。

「…ロックオン…。」



その白い指で、俺に触れて欲しい。

熱い舌で俺を翻弄して欲しい。

長い腕で俺を包んで欲しい。


カプセルをもっとよく覗き込もうと体を動かすと、性器がズボンに擦れて、激しい快感が走った。


「んぁあぅっ!!!」


思わず、カプセルの強化ガラスにしがみつく。

目を開けると、腕一本分も離れていないところに、彼の綺麗な顔があった。


「ロック……。」

口に出してみれば、ゾクゾクと快感が生まれてくる。

宇宙に居た間は、一度も自分で処理をしなかった為、反応したのは3ヶ月ぶりである。

ちょっとした刺激も、異常なくらいの快感を生み出す。


「…ロック…」


刹那はもう一度、愛しい人の名を呼んだ。

鼓動が震え、ズクンと自身が大きくなる。


彼に触れて欲しい、それが無理なら、カプセルを開けて彼の体に触れたい、と思った。

しかし、ロックオンを今日カプセルから出したばかりである。

加えて室内は気温が低いし湿度がない。

少なからずロックオンの負担になる。

治療を妨げて、彼の回復の遅延につながってしまうだろう。

刹那はカプセルを開けたいという衝動を、奥歯を噛み締めてやり過ごした。








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