3. リハビリ






朝。

寝起きの悪い刹那は、心地よい微睡みに浸りながら温かさを求めて身を寄せる。


「もう少し寝ていなさい。」

優しい声と、うっとりするような口付けが降り注ぐ。

あまりにも断り難い、甘い誘惑。

だが、これに抵抗しなければロックオンの治療の時間がずれてしまう。





重いまぶたを開く。

「おはよ、刹那。」

朝日に透けてキャラメル色に輝く彼の髪の毛。

キラキラとまたたく翠碧。

ロックオンのほうが血圧が低いはずなのに、どうして朝っぱらからこんなに爽やかな笑顔ができるのだろうか。

刹那は毎朝疑問に思いながら、目覚めのキスを再び受ける。

「…………おはよう。ロックオン。」

「はい、おはよ。」

神々しいくらい眩しすぎる微笑み。

「いつ見ても寝癖スゴいな。モサモサしてる。」

刹那の猫っ毛に顔を埋めるロックオン。

されるがままにしながら刹那は彼の胸に耳をあてる。



――トクン、トクン、トクン、トクン…




規則正しい心音が聞こえてくると、ようやくすっきりと目が醒める。








刹那は布団の中からモゾモゾと這い出る。

「えー、もう起きるのかよ。……もう少し寝ていようぜ。」

刹那のパジャマをロックオンはクイクイと引っ張る。

「…ああ、ロックオンはまだ寝ていてくれ。」

「そんなつれないこと言うなよー。」


しかし、この誘惑にかかってしまったら、あと3時間は抜け出せなくなりそうだ。

その手には乗れない。

今朝は、刹那に計画があったのだ。







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